
不動産を相続した際、売却するべきか所有を続けるべきか判断に迷う方も多いのではないでしょうか。
とくに相続不動産には、維持管理費や固定資産税などの負担が伴うため、慎重な検討が求められます。
売却を選ぶ場合には、利益だけでなく手続きの手間や税負担といったデメリットも理解しておかなければなりません。
この記事では、相続した不動産を売却する際のメリットとデメリット、検討時の注意点を詳しく解説します。
相続した不動産を売却するメリット

相続した不動産を売却すると、維持費の削減や資金の確保が図れます。
一方で、家族の思い入れや将来価値などを踏まえた慎重な検討も欠かせません。
まずは、売却によって得られる主な利点を整理しましょう。
維持費の負担を軽減できる
不動産を所有し続ける限り、固定資産税1.4%や都市計画税0.3%までが毎年課されます。
物件が複数ある場合は、合計負担が家計を圧迫し、老朽化した建物なら修繕費も増加します。
マンションやアパートでは管理費や修繕積立金も上乗せされ、空室でも支払いは続きます。
屋根や外壁の劣化を放置すると雨漏りや倒壊リスクが高まり、結局は高額な改修が必要になる恐れもあるのです。
空き家対策特別措置法により、管理が不十分な物件は固定資産税が増額される可能性もあり、保有コストは年々上昇傾向にあります。
固定資産税の課税標準額が上昇するケースもあり、長期保有ほど累積コストが膨らむ点にも注意が必要です。
売却すれば、これら継続的な支出やリスクから解放され、資金や時間を他の目的に振り向けられます。
地方の山林や農地は買い手が少なく、放置しても税負担が継続するため、早期売却が合理的な場合もあります。
たとえば、築30年延床120㎡の木造戸建てなら外壁塗装だけでも100万円前後が相場です。
不動産を現金化して自由に使える
売却で得た資金は住宅のリフォーム、教育費、老後の生活費など用途を選びません。
医療や介護費用、相続税の納付資金として備えられる点も安心材料です。
また、投資信託や株式など別の金融商品に振り向けることで、リスク分散や流動性の確保も可能になります。
現金を確保しておけば、ライフイベントや緊急時の支出にも柔軟に対応でき、心理的なゆとりが生まれるでしょう。
不動産は換金までに時間を要する「非流動資産」とされるため、タイミングを逃さず現金化しておく判断には一定の合理性があります。
この資金を低リスクの預金や国債で運用することで、値動きを抑えつつ将来の支出に備える選択も可能です。
国税庁の路線価と実勢価格の乖離が大きい地域では、売却益が想定より増えるケースも報告されています。
相続人同士でのトラブルを防ぎやすくなる
共有名義のまま残すと、利用方法や管理費を巡って相続人同士で意見が分かれがちです。
売却して現金化し平等に分配すれば、合意形成が容易になり紛争を回避しやすくなります。
遺産分割協議が長期化すると、固定資産税を誰が負担するかといった実務面での摩擦も生まれます。
現金で等分しておければ、各自が自由に資金を使えるため、後の感情的なしこりを残しにくい点も魅力です。
2023年の家庭裁判所統計でも、遺産分割調停の3割以上で「不動産の共有」が紛争要因に挙げられており、売却は有効な予防策といえます。
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相続した不動産を売却するデメリット

売却には手続きの手間や税金負担が伴います。
共有名義の調整や譲渡所得課税など、想定外の費用や時間がかかる可能性も考えられるでしょう。
ここでは、注意すべき主なデメリットを確認します。
共有名義などで所有権の整理が必要
売却には共有者全員の同意が不可欠で、意思が合わなければ手続きが停滞します。
連絡が難しい相続人や、意思能力が不足する高齢者がいる場合、成年後見制度の利用が必要になるケースもあります。
書類の収集や押印が進まず買主が離れてしまうと、販売条件が悪化するリスクもあるため注意が必要です。
遠隔地に住む相続人がいると移動費や郵送費がかさみ、結果的にコスト増となる点も見逃せません。
こうした事態を避けるためには、早期に意向を確認し、専門家を交えて話し合いを進めることが望まれます。
所在が異なる複数筆の土地を含む場合は、分筆登記を先に済ませると買主の計画により合いやすくなります。
譲渡所得税が発生する可能性がある
譲渡所得は、売却額から取得費・譲渡費用を差し引いて算出します。
相続不動産は、取得費が低くなりがちで課税額が膨らみやすく、長期保有なら約20%、短期なら約40%が税負担となります。
取得費が不明な場合、売却価格の5%を概算取得費として計上可能です。
仲介手数料や測量費、解体費など譲渡費用として控除できる経費を漏れなく計上すれば、課税額を軽減できます。
古い土地や建物ほど当初の購入価額が小さく、課税額が想定より大きくなるため、事前に試算して資金計画を立てましょう。
将来的な収益の機会を失うこともある
都市部や再開発エリアの物件は、賃貸運用による家賃収入や資産価値の上昇が期待できます。
売却するとこれらの将来利益のチャンスは失われるため、長期的な資産運用方針と照らし合わせて判断してください。
周辺の開発計画や人口動態によっては、保有し続けた方がトータルリターンが高まる場合もあります。
インフレ局面では不動産価格が上昇しやすく、賃料改定による収益増も見込めるため、短期的な現金化が必ずしも最善とは限りません。
短期的な現金需要と、将来の収益ポテンシャルを天秤にかけ、家族で納得のいく結論を導くことが重要です。
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相続した不動産を売却するときのポイント

相続不動産の売却には登記変更から契約、税務申告まで多くの手続きがあります。
流れと選択肢を把握したうえで準備を進めることが、スムーズな取引とトラブル回避につながるでしょう。
ここでは、具体的なポイントを3つに整理します。
売却方法の違いと適切な手順を知る
仲介は、市場価格で売却できる反面、成約まで時間がかかる場合があります。
買取は価格が下がる一方で現金化が早く、相続登記を済ませてからどちらを選ぶか判断するとよいでしょう。
内覧対応や広告費の負担など手間を考慮し、スケジュールや資金需要に合った方法を選択することが大切です。
専属専任・専任・一般の3種類の媒介契約は、報告義務や自己発見取引の可否が異なるため、内容を理解して契約する必要があります。
共有名義の整理や同意取得が必要な場合もある
共有名義の場合は早めに協議し、同意書の取り交わしや持分買取など具体策を検討します。
対立が解消しないときは、司法書士や弁護士を通じて遺産分割調停を利用する選択肢もあります。
調停に進むと時間と費用がかかるため、可能であれば専門家が間に入って早期に合意を図ることが望ましいです。
共有者の1人が持分のみを第三者に売却する「持分売却」は関係悪化を招く恐れがあるため、最終手段として慎重に検討してください。
信頼できる専門家に相談し手続きを進める
司法書士は登記、税理士は税務申告、不動産会社は販売活動を担当し、連携が取れると手続きが円滑になります。
報酬や仲介手数料を比較し、費用対効果を確認したうえで依頼先を決めましょう。
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まとめ
相続した不動産を売却することで、維持費の削減や資産の現金化が可能となり、相続人間のトラブル防止にも役立ちます。
ただし、譲渡所得税の発生や将来的な収益機会の喪失といったデメリットもあるため、慎重な判断が求められます。
名義変更や所有権の確認など基本的な手続きを理解し、適切な準備を整えてから売却を検討するようにしましょう。
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